「新生子ども会、発足の裏側を訪ねて」
団地にまつわるストーリーを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が、2022年6月より全10回お届けしている「わたしのダンチ・ライフ」。
第5回目は、茶山台で2019年に復活した新生子ども会「茶山台2丁1・2番子ども会」の会長を担う双子パパの池田さんにインタビュー!
そんな池田家から目と鼻の先に住まう編集部の甚田がお届けします。
少子高齢化で一度消滅した子ども会が復活?!
ここ茶山台団地では、子ども会主催の、子ども達が楽しめるイベントが度々開催されています。
恒例化してきた秋の芋掘り遠足や、
集会所でのクリスマス会。
集会所付近で夏祭りなど。
一見よくある子ども会行事の風景ですが、実は一味違います。
芋掘りでは、“ジュニアリーダー”と呼ばれる高学年の子ども達が事前準備や後片付けを。
クリスマス会や夏祭りでは、出し物決めから景品の準備、当日の司会進行から告知に至るまで、何度もジュニアリーダーが集まり、会議を重ねて進めてきました。
「茶山台2丁1・2番子ども会」は、子どもが主体となり企画・準備・実行するという【子どもの、子どもによる、子どものための子ども会】なのです。
このような子ども会になったのには、2018年に一度子ども会がなくなってしまった背景があります。
高齢化と子育て世代の働き方が多様化した現代では、子どもがたくさんいて専業主婦の方が多かった時代とは異なり、地域活動に参加する人数が減ったため、子ども会の運営を続けていくことに課題を感じている地域も多いのではないでしょうか?
茶山台団地の子ども会も、例に漏れずこれまでのように続けることが難しく一旦終了。
しかし、なくなってしまった子ども会を復活させようと動いた人たちがいたのです!
それは、新型コロナウイルス感染症拡大前のことでした。
茶山台団地では、地域のことを考える夜の集いの場として「オトナカイギ」という持ち寄りご飯会が月1回茶山台としょかん(注1)にて開催されていました。
子育て世代から自治会を支えてくださっている人生の先輩方まで、みんなで集まって、わいわい楽しい時間を過ごしていました。
その際に「子ども会復活!」の話が浮上したのです。
子ども達がやりたいことを実現に向けてサポートしていくような、子ども達の成長と学びの場としての役割も持った子ども会になればと、新生子ども会結成について議論が行われていました。
先輩方も「そういうことなら何でもサポートするよ!」と言ってくださり、そうとなれば会長は誰にする? となったところで、遅れて参加予定だった池田さんに白羽の矢が立ったのです。
そして、仕事終わりに駆けつけた池田さんにみんなで労いのご飯やドリンクを準備して、乾杯! 一段落したところで、経緯を説明し「会長は池田さんがいいな〜(拍手喝采)」というような半ば強引な、いえ、池田さんを担ぎ上げる形で子ども会の発足が決定したのです。
「えー?!」と戸惑いながらも、会長を引き受けられた池田さんのお人柄がにじみ出ていました。
自身の子どもは小学校高学年ということもあり、地域行事にはあまり参加しなくなっていましたが、それでも会長を引き受けた理由を聞いてみました!
池田さんは、茶山台生まれ、茶山台育ち、結婚してから現在も茶山台で暮らすという生粋の“茶山っ子”。
なんと職場にも歩いて行く『職住近接』という最先端な生活をされています。
子どもの頃は、ひと学年で5~7クラスあるほど子どもが多く、団地内のコミュニティで育った池田さん。
子ども会のソフトボールに参加していた少年時代にお世話になった監督がいて、大学生の頃「おまえ、暇やろ? 手伝え!」と声をかけてもらい、その監督の職場でもある就労継続支援B型作業所のお手伝いに行っていたそう。
そこには同級生の友人たちが働いていて、彼らとのコミュニケーションが楽しく、今の仕事にもつながっていると言います。
「自分も地域の方々にしてもらってきたことを気付いたらするようになっていた」と振り返っておられました。
自身が子どもの頃に体験をして楽しかったのは「夜回り」。堂々と夜遊びできる、子どもにとっては冒険心をくすぐられるイベントだったと当時を振り返り、子ども達にも経験してもらおうと夜回りを企画。新型コロナウイルス感染症拡大も気になる時期だったので、打ち上げの代わりにカップラーメンを集会所の外で食べるというアイデアを思いつき実施したところ、子ども達は大喜びだったそうです。
「火の用心〜」と大きな声で叫んでストレス発散! そして、その後に外で食べるカップラーメンは格別です。カップラーメン初体験だった子どもがいたり、いつもと違ったシチュエーションに心躍る体験だったことでしょう。
今後の展望を訪ねてみたところ「青年団を作りたい!」と大きな野望が飛び出しました。子ども会と自治会の間をつなぐ世代がぽっかり抜けているのが現状。「子ども会で地域に触れた子ども達が、青年団に入り地域との接点がつながれば、成長しても地域に関わることが当たり前になるのでは」と思っているからとのことでした。
活気のある青年団がある地域づくりができれば、地域から出ていく人も減るはずだと仰っていたのも印象的でした。また「それがさらなる街の良さにつながると思ってます」とにこやかに語ってくださいました。
インタビュー前は、会長を半ば無理矢理やらされたのでは? と少し心配していたのですが、池田さんは元々、地域活動に参加していた少年時代を送られてきたので、とっても自然に受け入れることができたんだな〜と感じ、ホッとしました!
そんな池田さんに聞いてみた“ずっと茶山台団地から離れられない”理由5つ
- 「住み心地がいい」
緑が豊かで、住環境が整っている。 - 「駅に近い」
徒歩10分程なのに、幹線道路がないから静か。 - 「都会にも近い」
最寄駅の泉北高速鉄道「泉ケ丘」駅から約23分で難波に出られる。 - 「家賃が安い」
駅近物件なのに安い! - 「駅前で何でも揃う」
生活に必要なものは、ほぼ何でも揃う。
団地5階最強説!
そして、敬遠されがちな団地の5階に住む池田さんは『5階最強!』と力説してくださいました。何でも一番上の階なので、景色がいいことや、上から響いてくる音もないこと、またニコイチ(注2)住居で他の住居者さんが上がって来ることもなくプライベート気分が味わえて最高! とのことでした!
ニコイチかつ最強の5階で、ご自身の理想とする住まい方を実践されているので「茶山台からは出ていかない」と宣言されている池田さん。「自分がおじいちゃんになったら、大好きなお酒を飲んで酔っ払って道で動けなくなった時に、子ども会で楽しい時間を共に過ごした子ども達にお世話されたいな~」と極上の笑顔で話されていました。
これまでも子ども会の行事に参加させてもらって、とても楽しませてもらってましたが、今回の取材を通じて池田さんのお人柄を知ることができ、ますます小学生の娘を子ども会に参加させたい! と思いました。
この記事が公開される数日前に、秋の芋掘り遠足に3年ぶりに参加し、娘よりも楽しんだ筆者でした。
【注】
1)「茶山台としょかん」
茶山台団地内で使われていなかった19棟集会所で始まった、本を介したコミュニティスペース。
団地住民はもちろん、誰もが自由に参加できる。
会館:水の13:00~17:00、金・土の10:00~17:00(12:00~13:00は閉館)
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください
2)「ニコイチ」
45㎡の2戸をつなげて、90㎡という広い間取りにコンバージョンした茶山台団地内の住居。今までの団地の概念にとらわれず、スペース的にゆとりある質の高い暮らしを提案している。