1年に一度の団地祭「16棟マルシェ」潜入レポ ~後編~
団地にまつわるストーリーを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が、2022年7月より全10回お届けする「わたしのダンチ・ライフ」。
第1回目は、いま、南大阪で最も勢いがある茶山台団地で一年に一度、界隈での活動が一堂に会される「16棟マルシェ」を編集部員の山田がレポートします。
今回は第1回目 潜入レポの後編です。
1年に一度の団地祭「16棟マルシェ」潜入レポ ~前編~ はこちら
イベントから少し離れると、イベントを支える人たちの姿が見受けられました。
この団地に無くてはならない存在の川野さんは今年で81歳。
近隣の人々を気にかけながら、見えない所をサポートしているのです。
会場のガーランドや日よけ網を取り付けたり、ステージの設営など、力仕事を川野さん始め「DIYのいえ」(注4) の茶山台団地DIYサポーターズ(アラウンド80のおじ様たち!)が進んで引き受けてくれるからこそ、このように大きなイベントが成り立っているのです。
「16棟マルシェ」の立役者であり、茶山台団地の顔と言っても過言ではない「やまわけキッチン」の湯川さんと、やまわけスタッフの皆さんが愛情込めてこしらえた “ やまわけ弁当 ”(何と500円!)も欠かせません。
色とりどりのおかず、一つ一つにも実はストーリーがあり、
団地住民である先述の川野さんがご自身の畑で育てた赤玉ねぎがオシャレなハニーマリネに、
民生委員長もされている茶山台一熱き心意気の、植野さんのラディッシュはサラダに。
地域外にも関わらず、農作物をいつもお裾分けしてくださる野中さんの朝採れ破竹はメンマに。
実はマジシャンでもある(あれ?どこかで聞いたような…)長田さんのジャガイモはポテトサラダにと、
それぞれの農作物が “ やまわけ ” られた、なんとも温もり感じるラインナップだったのです。
人気すぎて要予約だったので、食べられた方はラッキー。
そんな、畑もされている「DIYのいえ」茶山台団地DIYサポーターズは、出店ブースでも大活躍でした。
木製の遊べるオモチャをたくさん用意してくださり、スマートボールや操縦できるミニユンボ、のこぎり体験まで!
子ども心を鷲掴みにする仕掛けがたっぷりでした。
頼もしい男衆を支える奥様方も多才で「DIYのいえ女子部」の皆さんがこの日のために、布小物やインテリアをたくさん製作。
材料と知恵と経験を持ち寄り、「楽しく・可愛く・面白く」をモットーに活動されているそうです。
昔からの住民さんだけでなく、ご新規さんも積極的に関わる姿勢がこのまちらしさを物語っていました。
「来たれクリエイター!プロジェクト」(注5) で当団地にやってきた、“ きっしゃん ” は今年で茶山台団地歴3年目。
「去年も同じ子が来てくれました」とすっかり顔なじみになった様子です。
ポラロイドの無料撮影会が今年も盛況だったので、我々取材班も撮影してもらいました。
画像が写し出されるまで屋台にキープしておいて、うっかり忘れて帰ってしまったのはここだけの話です。
(後ほどカメラマンの小百合さんがしっかり持って帰ってくれていました)
同じく茶山台団地歴3年目の松田さんは、「去年の「まちかど保健室」(注6) の健康チェックでは、段差を1段しか上がれなかったけど、今年は2段まで上がれるようになった」と嬉しそうでした。
2カ月前に越して来たばかりの田中さんは、整体師の資格を活かしてハンドマッサージを提供。
イキイキと活動されている姿がまぶしく映りました。
そうして、あちらこちらで「久しぶり、元気だった?」「少し見ない間に大きくなったね」という会話が交わされ、再会を喜ぶシーンにもたくさん出くわしました。
この場所に根を下ろして日々活動する面々も、この日を心待ちにする人々も、「また来年」と楽しみに帰っていくのです。
「茶山台団地に来てよかった」と、多くの人がきっとそう感じた1日に思いました。
【注】
4)「DIYのいえ」
今回の会場にもなった茶山台団地16棟の一室(正確には2~4室に至る)にあり、初心者でも安心してDIYの体験や相談ができるワークスペース。あらゆる工具が揃い、誰でも無料で使用できる。DIYの達人が手取り足取りサポートしてくれるので、手ぶらでまずは行ってみて。
営業:土・日の10:00~17:00
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください
5)「来たれクリエイター!プロジェクト」
公社が2019年に公募した、若きクリエイターを応援するルームシェア企画。
一戸45平米の部屋を2戸繋げ、90平米にリノベーションした「ニコイチ」部屋を拠点に住まいながら茶山台の魅力を発信し続けている。
6)「まちかど保健室」
茶山台団地の集会所を始め、近隣の団地や大学、オンラインにて、血圧測定や血管年齢、骨密度などの健康チェックと、看護師やケアマネージャーなどの専門職スタッフによる健康相談会や講習を無料開催。
ヘルスケアやエイジングをコンセプトに、気軽に健康や介護について考える場所。
16棟マルシェでは出張出店していた。