私のダンチ・ライフ「泉北ではじめる自分らしい暮らしかた」

バスが団地内までやって来る!?泉北で外出の選択肢が増える南海オンデマンドバス

わたしのダンチライフ
2024.03.18

団地にまつわるストーリーを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が、2022年6月よりお届けする「わたしのダンチ・ライフ」。

今回は、生まれてから小学校卒業までの12年間、団地暮らしをしていたhalhalが、「泉北ニュータウンの課題をAIの力を使って解決する!」というプロジェクトの一貫である“NANKAIオンデマンドバス Supported by J:COM”(以下「オンデマンドバス」)の取材に伺いました。

※こちらの記事は、実験期間(〜2024年1月)のものです。

オンデマンドバスは、時刻表がある従来の大型バスとは違い、小型バスでの運行で、2023年10月1日から2024年1月31日までの期間で2回目の実証実験が行われていました。(1回目は2023年1月10日から2023年3月10日まで実証実験済み)

このオンデマンドバスは、50カ所の停留所から乗車場所と降車場所、乗車時刻が自由に選べ、予約はアプリか電話で簡単にできます。時刻表や決まった路線のない予約型の乗り合いバスで、乗車の際は必ず座れるのが特徴です。

ちなみに、“オンデマンド”とは“要求に応じて”という意味で、利用者が要求したタイミングでサービスが提供される方式だそうで、まさにその通りのバスですね。

停留所の数は、1回目の29カ所から、2回目は50カ所に増えました。走行範囲は大型バスの運行がなくなってしまった桃山台や鴨谷台を中心に、南区内の病院や娯楽施設、商業施設近くの運行も追加されました。

2024年1月某日、オンデマンドバス利用者さんへのインタビューを堺市役所職員さんと南海電気鉄道さんがされるということで、取材班もお邪魔させていただきました。

インタビューでは実際に利用してみた感想や、改善してほしい点、オンデマンドバスへの期待を聞かせていただくことができました。

原山台在住の中川さんは普段は歩いてどこにでも行かれるそうですが、歩くのが苦手なご友人とのランチやお買い物を楽しむために、オンデマンドバスを利用されました。でも、向かうお店の最寄り停留所が地図の写真を見ただけではわからず、一度歩いて下見に行ったそうです。ご友人とのお出かけ当日の乗車ルートは「泉ケ丘駅→ランチするお店近く→ご友人の行きたい花屋さん近く→泉ケ丘駅」と1日3回乗車し、ツアーのように利用されたそうです。

「友人が堺市外に住んでいるので、すごくうらやましがられました!」とご友人がオンデマンドバスをとても気に入られた様子をお話しくださいました。

その他スーパーへの買い物にも利用したそうですが、思うように帰路の予約が取れず、あらかじめ帰路の予約もしていればよかったと話されていました。

三原台在住の増原さんは、いつも一緒にお出かけをするご友人たちと極楽湯や、その近くにあるスーパーまで行かれたそうです。「自宅の近くから目的地へのバスの路線がなかったので、行くことができてとても満足です」とお話しくださいました。

乗車の際はアプリで予約をしたとおっしゃる増原さん。アプリの導入などは泉ヶ丘広場でのイベントの際にオンデマンドバスのスタッフがサポートしてくれたそう。

利用者さんへのインタビュー後、南海電気鉄道の西川さんのお話も聞かせていただきました。

オンデマンドバスの利用者は1回目の乗車試験(2カ月間)が861人だったところから、2回目(4カ月間)では3253人に増えたそうです。中には50回も利用してくださるリピーターさんもいらっしゃったと教えてくださいました。

乗車予約はアプリからが6割、電話が4割で、乗車される年齢層で一番多かったのは70〜80代、1番人気の停留所は「泉ケ丘駅」、続いて「光明池駅」、3番目は「極楽湯」だったそうです!!

極楽湯の停留所は1回目の試験運行の際にはなく、利用者さんの声から生まれた停留所です。

西川さんは泉北ニュータウンに住む方々の外出が楽になるように、改善点も取り入れながら現在の交通手段にオンデマンドバスがうまく加わり、外出時の選択肢の一つになればと仰っていました。

実際に取材班もオンデマンドバスの乗車体験をしてきました。

まずはアプリをダウンロードし、乗車、降車場所、乗車時刻、乗車人数などの必要項目を選択し、予約をリクエストします。予約が確定するとバスの位置情報と到着予定時刻が分かります。

アプリでの予約は24時間可能。電話では予約専用ダイヤルで9:00〜18:00に受け付け。予約は乗車希望の2週間前から10分前まで可能です。

この日の予約は無事希望時間に確定し、びっくりするほど早くオンデマンドバスが到着。決まったルートのない乗り合いバスなので、走っている途中に予約が入り、その乗車場所が走行時間の範囲内ならば、別の利用者さんを乗せながらそれぞれの降車場所まで届けてくれます。

希望の乗車時間、距離などの関係で、予約が取れない場合は予約可能な時間を再指定する必要があるそうです。

車内には1列目2人、2列目と3列目は3人ずつ座れるシートがあり、計8席。それぞれの座席に3点式シートベルトが付いていました。

座席はゆったりとしていて、車体の後方には荷物を載せるスペースもしっかりとありました。

乗車の際に運転手さんが予約時の名前と降車場所を確認し、乗車料金を支払って出発します。

取材班は「泉ケ丘駅」から「UR桃山台1丁団地ももポート」までの乗車を予約したのですが、この日は走行途中での乗り合いはなく、乗車地点からの乗り合いのみで、降車場所まで停車することなく進みました。

南海バスの運転手さんによる運転は乗り心地も抜群。乗車中は泉北ニュータウンの景色を楽しみました。

オンデマンドバスならではの風景は、AIが最適ルートを導き出すこの「ナビ」ではないでしょうか!

乗車10分前まで予約が可能なので、運行中でも予約が入るとこのナビを使って次の目的地へ向かいます。利用者さんそれぞれの乗車時間が長くならないように、時間を調整する工夫もされているとのことでした。

団地の中の道を通って取材班は無事「UR桃山台1丁団地ももポート」に到着。

この「ももポート」前の停留所は大型バスでは決して入れない、団地内の細い道にある停留所です。小型バスならではの、団地住民の方にとってはうれしい停留所ではないでしょうか。

後日頂いた運転手さんからの感想では、基本的には1名での利用が多く、リピーターの中には4名ほどのグループでのご利用ケースもあり、全体としてお買い物目的の利用者さんが多いように感じたそうです。

また、「路線バスよりお客様との距離が近いので、より密接なコミュニケーションが取れる点がいいと感じました」とお答えくださいました。

路線バスのような固定運行ではなく、タクシーほどの自由度はないですが、安価で小回りがきき、利用者にも寄り添う事のできるオンデマンドバス。既に運行している堺市乗合タクシーと比較してもオンデマンドバスには停留所はあれど時刻表がない分、乗車時間指定の自由がきくというのが優れた面ではないでしょうか。

現在は実証実験段階ですが、さらに運行台数や停留所が増えて、求めている方々に届けば、新たな交通手段の一つとして泉北ニュータウンをもっと住みよい環境にしてくれる頼もしい存在になるかもしれませんね。

次回の運行があるときは、ぜひとも利用してみてはいかがでしょうか。

 

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