私のダンチ・ライフ「泉北ではじめる自分らしい暮らしかた」

団地内で地域の健康を守る「茶山台ほけんしつ」〜②オープン編〜

わたしのダンチライフ
2024.05.09

団地にまつわるストーリーを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が、2022年6月よりお届けする「わたしのダンチ・ライフ」。

前回に引き続き岡本(RE EDIT編集部ライター)が、団地の1室をリノベーションした後の「茶山台ほけんしつ」をご紹介します。

「茶山台ほけんしつ」の成り立ちが分かる〜①ビフォーアフター編〜はこちら〜

2023年10月3日、待ちに待った新拠点「茶山台ほけんしつ」のオープン日。

編集部が到着すると、オープン時間の10時前なのにもかかわらず、外には行列ができていました!心待ちにされていた住民さんたちの期待が感じられます。

この日は茶山台団地住民にはおなじみの「まちかど保健室」が開催されました。

まちかど保健室は、「健康でいきいきとした暮らし」をサポートするためのミニ講座や、血圧・脈拍・血管年齢を看護師が測定してくれる健康チェック、体操教室が行われ、医療や介護に関するお悩み相談ができる場所です。月に2回開催されます。

当日のミニ講座の内容が、入り口に掲示されています。どんな講座を行うかは、住民さんからでた声を元に検討されているそうです。

まずは、血圧、脈拍、血管年齢などを測定するため、玄関から入って左のコーナーへ。看護師さんが測定してくれます。測定の結果は経過が追えるように、まちかど保健室専用の用紙に書き込んでいきます。

初日のわくわくと緊張で「血圧がいつもより高いわ」なんて方もいらっしゃったようです。

測定が終了したら、動画を見ながら体操を行います。最初はゆっくりとした動きで、体操の内容を覚えて、その後、音楽に合わせて動いていきます。座りながらダンスをするような要領で行う体操プログラムです。

動画には字幕が付いていて、同時に解説してくれるのでとても分かりやすい内容になっています。

そして、音楽が始まりました。ダンスミュージックの陽気なメロディでなかなか速いテンポです。細かい動きも多くて難しそうですが、皆さん頑張って運動に励んでおられます!

体を動かすと自然と笑顔も生まれてきます。

スピード感があり、動きを見ていてもかなり難しそうな内容でしたが、皆さん笑顔で楽しそうに取り組まれており、最後には拍手も沸き起こっていました。

筆者は理学療法士の仕事もしているのですが、普段使わない筋力を使い、少し難しい内容にチャレンジすることで、認知症予防や達成感にもつながっていくように感じました。

体操の後は少し休憩を取って、ミニ講座が始まります。

初回のこの日は理学療法士の山本さんによる、筋力維持についてのお話です。現代の日本人は運動不足の人が多いことや、運動不足にならないように歩く重要性を説明してくれます。

その後、筋力維持のための体操の時間も設けられていました。

そうして、新拠点での初日が終了です。

来られた方には「こんなきれいで新しい拠点を作っていただいて、とてもうれしいです。体操で体をほぐして、健康に関することも知ることができて充実していました」と好評でした。

寒くなってきた12月。オープンから2ヶ月経って、再度取材に伺いました。この日もたくさんの方々が訪れていました。

皆さん慣れた様子で血圧などを測定してもらっています。

測定している看護師さんはさまざまな現場で働く方が来られるそうで、この日は訪問看護の看護師さんが担当。オールマイティーな知識を持っているため、いろいろな相談に応じてくれます。

測定後は、動画を見ながら体操します。こちらの体操はオープン当初から同じ内容で、リズムが速くて動きも細かいので、繰り返し行うことで覚えていくのだとか。皆さんだんだんとできるようになってきていて達成感を感じていらっしゃるようです。もちろんこの日が初めての方もいらっしゃいましたが、声を掛け合いながら体操の時間を過ごし、アットホームな雰囲気が流れていました。

そしてその後は、介護福祉士さんの指導の元で行う講義と体操の時間です。先ほどの運動とは変わって、肩こりに効く動きや脳トレになる指の運動をゆっくり丁寧に行っています。

「茶山台ほけんしつ」のオープン初日から2ヶ月の間、毎回出席されているという方々にインタビューしてみました。親子で参加されているお二人。娘さんがお母様の健康維持を考えご一緒に参加されているそう。お母様は「この間の足指の体操がすごく良かった。家でもやってますよ」と教えてくれました。

田中さん(84歳)。「楽しかった。ありがとう。2週間に1回の楽しみになってきている」とスッキリ爽やかなご様子でした。

山下さん(87歳)写真右。「茶山台としょかん(注1)で開催されていた時にもお手伝いしながら参加していました。場所がここになってから、森さんもお誘いして一緒に参加しています。うちの家からだと階段を上るのが少し大変だけどね、地域でやってることには参加しなきゃって思いもあって来ています。こうしてみんなに会えるのが楽しみです」

森さん(75歳)写真左。「昔、地域会館でも体操教室をやっていて、でもコロナでなくなってしまって。山下さんに誘ってもらって来ました。楽しかったです。もっと他の住民さんにも来てほしいですね」

まちかど保健室を主催しているスタッフの髙橋さんは「住民さんとの距離がだんだん縮まっているのを感じています。あったかい雰囲気も出てきました」とうれしそうに話し始めてくれました。

「元気に生活されている方の健康を維持増進していきたいという思いを軸に、活動しています。住民さんたちの声を間近で聞けるこの環境はとても学びが多いです。その声に応えられるように、グループ内でもいろんな職種の人を巻き込んで進めています」と思いを語ってくれました。

定期開催がだんだんと定着してきて、参加している住民さんの満足度も高い「まちかど保健室」。参加した住民さんが、他の住民さんにも声を掛けて徐々に広まっているようです。

プログラムを受けるだけではなく、団地内の住民同士のコミュニティーの場としても機能している様子がうかがえました。

2回に渡り、「茶山台ほけんしつ」の火曜日に開催されている「まちかど保健室」についてレポートしてきましたが、月曜日開催の「出張オークカフェ」や水〜金曜日開催の「みんなの保健室」については次回に続きます。

 

 

【注釈】

注1)茶山台としょかん

茶山台団地内であまり使われていなかった19棟集会所で始まった、本を介したコミュニティースペース。

団地住民はもちろん、誰もが自由に参加できる。平日の午前中は近隣マダムの憩いの場で、午後は小学生が宿題をしたり、土曜日の午前中は未就学児連れの親子が遊びに来たりと、時間帯によってバラエティに富んだ表情を見せる。

開館:水の13:00~17:00、金・土の10:00~17:00(12:00~13:00は閉館)

※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

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