私のダンチ・ライフ「泉北ではじめる自分らしい暮らしかた」

茶山台団地のコミュニティーの魅力が凝縮された団地祭!16棟マルシェ、今年も開催。 〜後編〜

わたしのダンチライフ
2023.11.16

団地にまつわるストーリーを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が、2022年6月よりお届けする「わたしのダンチ・ライフ」。

2023年6月3日に茶山台団地の16棟横で開催された「16棟マルシェ」に潜入しました。

はっぴぃえんど音楽隊も登場する前編はこちら

後編のスタートを飾るのは、観客の心を鷲掴みにするこの方。

紙芝居屋のガンちゃんです。最前列に昨年のお客さんがいたそうで、急遽演目を変更。お客さんとのやり取りで、披露する内容を変えるライブ感が最大の魅力です。

 

ガンちゃんのおもしろトークで盛り上がりをみせるステージの、一番近くでお店を構えていたのは、入れたてのオリジナルコーヒーを提供する「OAK café」(注1)さん。

茶山台としょかん(注2)に月曜日不定期、出張カフェの一環で健康相談を行なっているご縁で出展されていました。コーヒーを入れるひと時で、お客さんとのコミュニケーションが取れればとハンドドリップを用意されていましたが、夏のような暑さに、オリジナルのアイスコーヒーが盛況でした。

そんな「OAK café」さんは、「わたしのダンチ・ライフ」第7回(記事はこちら)で紹介した地域の方が話し合う場所、「ちゃやミーツ」(注3)のメンバーでもあります。隣のブースでは、ちゃやミーツで企画を進めている、2023年秋開催予定の「ちゃやフェス」(注4)で使用するガーランド作りも行われていました。

ガーランド用の布を提供してくれたのは、「無印良品」泉北パンジョ店。この布は、無印良品の店舗にリサイクル・リユース活動で持ち込まれた布団カバーです。

そんな地域に根ざしたリサイクル・リユース活動に注力している「無印良品」泉北パンジョ店のブースでは、初夏をイメージした抹茶のお菓子をイベント特別価格で販売。その他、洗える夏用のルームサンダルや、ひんやりクッションなど、夏のオススメ商品が出揃っていました。

また、ちゃやミーツで行った地域内での防災への備えをリーフレットにまとめた取り組みが、防災への意識を高め、今回の16棟マルシェへとつながりをみせています。

「公社茶山台団地自主防災組織」は防災備品等を展示していました。リヤカーを始め、担架、発電機、救助工具セット、太陽光充電器、ヘルメットなど団地の防災会で管理する機材を実際に見て知ってもらうことが目的です。

防災士の資格を持つ住民の長崎さんが、豊富な知識で防災備品の使い方について説明をしてくれます。「災害時に住民同士が助け合うには、普段からみんなとコミュニケーションを取るのが何より大事」だと教えてくれました。

一方、防災食にもなるレトルト食品や乾麺を驚きの低価格で販売していたのは、いつもオシャレな装いの「団地住民」の村瀬さん。「どれでも2つで100円!安いやろ〜。缶詰もあったけど、すぐなくなっちゃった〜」と86歳とは思えないお茶目な商才ぶりを発揮していました。

どこでも自転車で駆けつける健脚の小林さんも遠方から遊びに来てくれました。情報通で、近畿各地を独自取材して回っている小林さんも、茶山台団地は特に注目しているそうです。

茶山台団地外から2回目の訪問というご家族もいらっしゃいました。昨年16棟マルシェに遊びに来た際に、茶山台団地の取り組みを知ったことをきっかけに、緑豊かで子育ての環境に適した泉北ニュータウンに魅力を感じ、住居を構えたそうです。

また、半年前に茶山台団地に引っ越してきたばかりという四辻さんは、イベントの交通整理をしてくれていました。現役時代は自衛官として、退官後は富士サファリパークで10年間警備員をしていたというそのテキパキとした誘導ぶりは、一朝一夕では成し得ないものです。そして何より生き生きと輝いて見えました。

テレビやメディアの取材や他府県からの視察が相次ぐ茶山台団地が注目されている背景には、やまわけキッチン(注5)を始め、DIYのいえ(注6)の茶山台団地DIYサポーターズ(注7)

やDIYのいえ女子部(注8)、

茶山台としょかんといった、茶山台団地で活動する各々のこれまでの育みによる絆が感じられます。16棟マルシェは、その縮図とも見て取れるのではないでしょうか。

今回の16棟マルシェのテーマが決まった背景を、主催の湯川さんは「コロナ禍の2年間が大きく影響しています。周りにいる人や、今持っている物、茶山台団地を取り巻く場所の存在がいかに心強く大切かを考えるキッカケになりました。近隣住民が集い、余分や余力は分け合い、不足分は補い合いながら助け合って暮らす当たり前のようで中々できないことを、楽しみながら経験することが、改めて茶山台団地の目指すべき方向性なのだと感じます」と語られていました。

イベント当日は真夏のような日差しでしたが、前日は警報が出るほどの大雨。開催の2日前から茶山台団地DIYサポーターズが、地面がぬかるまないようにブルーシートを敷いて対策をするなど、サポートをしてくれていました。

イベントが開催される中、湯川さんが「思い描いていた姿が形になっている」と嬉しそうに微笑んでいる姿が印象的でした。茶山台団地で、日々積み重ねてきたコミュニティーの集大成が、この16棟マルシェに凝縮して感じとれた一日でした。

来年の16棟マルシェでは、イベントを支える新たな参加者が増えている事でしょう。

【注】
1)「OAK café(オークカフェ)
管理栄養士が考案した定食メニューや、バリスタが入れるコーヒーを楽しめるカフェ。茶山台団地の近くにある地域密着型特別養護老人ホーム「グランドオーク百寿」が運営する施設。入所者だけでなく、一般の方にもオープンなスペースにすることで、老若男女が集うにぎやかな風景が生まれている。近隣住民が運営に参加するマーケットスペースや、学校帰りの子どもたちが毎日のように集まる駄菓子コーナーもある
堺市南区茶山台3-22-11(グランドオーク百寿1F)
072-291-0222

2)「茶山台としょかん」
茶山台団地内であまり使われていなかった19棟集会所で始まった、本を介したコミュニティースペース。
団地住民はもちろん、誰もが自由に参加できる。平日の午前中は近隣の奥様方の憩いの場で、午後は小学生が宿題をしたり、土曜日の午前中は未就学児連れの親子が遊びに来たりと、時間帯によってバラエティーに富んだ表情をみせる。
開館:水の13:00~17:00、金・土の10:00~17:00(12:00~13:00は閉館)
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

3)「ちゃやミーツ」
「グランドオーク百寿」のスタッフや茶山台住民を中心に、まちを楽しむ場づくりをしている茶山台の地域連携コミュニティー。

4)「ちゃやフェス」
「グランドオーク百寿」のスタッフを中心に、近隣住民が連携して、茶山台近隣センターで開催される秋祭り。今秋は、3年ぶりの開催を予定している。

5)「やまわけキッチン」
茶山台団地21棟の1階にある1室で営む、旬の食材を使った手作り惣菜が好評のお店。
“ 丘の上の総菜屋さん ”という枕詞通りの高台の立地で、1階ながら眺めは最高。
物理的にも精神的にも様々なことを山分けて、関わる人みんなの幸福度を上げる地域のよりどころでもある。
営業:月・火・金・土の11:00~15:00
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

6)「DIYのいえ」
茶山台団地16棟の一室(正確には4室に至る)にあり、初心者でも安心してDIYの体験や相談ができるワークスペース。あらゆる工具が揃い、誰でも無料で使用できる。DIYの達人が手取り足取りサポートしてくれるので、手ぶらでまずは行ってみて。
営業:土・日の10:00~17:00
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

7)「茶山台団地DIYサポーターズ」
「DIYのいえ」で活動するシニアスタッフ。茶山台団地の住人を始め、近隣の住民も参加。大工や消防士など様々な経歴を持つスペシャリストが豊富な知識を元にサポートしてくれる。

8)「DIYのいえ女子部」
裁縫が得意な方が集まり、身近な素材を生かした物作りを「DIYのいえ」で行っている。女性ならではの目線で作成する、暮らしがより便利になる小物に定評がある。

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